入山してから下山するまで、何時間もの間、時には何日間もの間、行動に必要となる荷物を持ち歩かなければなりません。
リュック(ザック)
登山中は、リュックが歩く家のようなものです。タウンユースと登山用のリュックは、背負い心地や疲れやすさが違ってくるので、登山用品店で登山用のリュック選ぶようにしましょう。
サイズ
リュックのサイズは、ℓ(リットル)で表記されています。ただし、同じ容量の表記でもメーカーによってサイズ感が違ってくることがあります。
「大きいの買っておけば大丈夫でしょ」と思うかもしれませんが、大きすぎるとリュック自体の重さも増え、中の荷物が少なくガサガサだと歩く際にバランスが悪く、荷物の取り出しもしにくくなります。
それでも、サイズ違いのリュックを何個も買っておくのはお金もかかり、場所も必要になるので、とりあえず最初のリュックを選ぶときは40リットル前後が良いサイズと思います。
形
同じように見えるリュックでも、細かいところを比べると違いがいくつもあります。実店舗で色々なリュックを背負って、背負い心地を比べて確認しましょう。
背中に当たる部分の素材、形状、フレームの形も様々。登山用リュックは腰で背負うので、ウエストベルトも重要です。お店で背負うときは中身が空ですが、実際使うときは10kg前後は重くなると思うので、付き添いの人がいれば、背負ったリュックに加重をかけてもらうなどして、荷物を入れた背負い感をイメージしてみてください。
重量
リュック自体の重さと、使いやすさ、背負い心地は反比例するかもしれません。
リュックにジッパー付きの小物入れポケットがたくさん付いていたり、仕切りがあったり、フレームがしっかりしていて背負い心地が安定し、ショルダーベルトやウエストベルトもクッションが厚めに入っていて体にフィットしている・・・というようなものは重量が重くなりがちです。
まず、小物入れになるポケットは、ひとつで十分だと思います。基本的に、リュックの中身は小分けにした袋を詰めてパッキングします。なので、小物入れは、財布やサングラス、タオル、車のカギ等すぐ取り出したいものや貴重品を厳選して使うと良いと思います。
また、メインスペースが上下2気室に分けられるものもありますが、大抵ジッパーが増え、当然生地も増えて重量増になります。この手のリュックも使ったことはありますが、2気室にして使ったことは最初だけで、後はほとんど仕切って使いませんでした。
基本構造がしっかりしていて、シンプルなリュックが長く使えると思います。メインスペースへのアクセスの手間が少ないと、休憩時に素早く物を出し入れできます。(これ結構大事)
大抵のリュックは、トップに雨ブタ(兼小物入れ)が付いていますが、2つのバックルで止めてあります。この2つを開け閉めするのが面倒なので、バックルが1個のものもあります。
ここからは、リュックの中身に入っていきます。
飲食物
体を動かすためのエネルギーの源になります。
山登りでは、食べ物がとても重要です。『シャリバテ』といって、摂取したエネルギーを使い果たして動けなくなったり心が折れたりすることがあり、これによって遭難することもあります。
いつもなら何てことない雪渓(雪の斜面)が、あるとき異様に怖く感じたことがありましたが、後から考えると、シャリバテによって体がいつものように動かせないと無意識に感じていたためだろうと気づきました。
行動食
登山中に食べるものを『行動食』といいます。
持ち歩くものなので、できるだけ軽く、エネルギーとなるカロリーが高い物が良いでしょう。
~一例~
- おにぎり
- パン(嵩張りますが)
- ドライフルーツ
- カロリーメイト
- 柿の種 等々・・・
飲み物
登山中、汗をかかなくても呼気から体の中の水分が出ていくので、こまめに水分補給をすることが必要です。
特に夏は熱中症になると下山できなくなり遭難する可能性があります。糖分と塩分が摂れる飲み物が良いですが、一般的なスポーツドリンクは糖分が多すぎるため、『OS-1』や自作の経口補水液をオススメします。
ミネラルウォーターや水道水も持っていくと、飲むだけでなく、ケガをしたときの傷口の洗浄や、手洗い、物洗いにも使えます。
飛猿は、いつも水分は水道水しか持っていきません。
非常食
もし遭難して、山中でしばらく過ごさなければならなくなった時用の非常用食料。日持ちしてコンパクトで高カロリーのものがオススメ。通常は下山まで手を付けず、デッドウェイト(タダの重り)となってしまうため、片手に乗るくらいに収めたほうが良いでしょう。
~一例~
- 羊羹(ようかん)
- カロリーメイト
- カントリーマアム 等々・・・
カッパ
上下揃えましょう。雨の時、上だけ着ても前モモが濡れて、ズボンを伝って靴の中が水没します。。。また、風をしのぐのにも使えます。
耐水圧
どれくらいの水圧まで耐えれるかという数値です。数字が小さいと、強い雨が降ったときに滲みてきます。
「耐水圧20,000mm」を選ぶと良いでしょう。
透湿性
ただ、水を通さないだけのウエア(ビニールガッパ等)は登山では使えません。カッパの内側でかいた汗が逃げ場がないと、びしょ濡れになります。
ザックカバー(レインカバー)
リュック用のカッパです。リュックが防水生地なら良いですが、そうでなければ雨天時にはレインカバーを付けましょう。
中の着替えやタオルが濡れてしまってはいけません。また、リュックの生地が濡れたことによる重量増も、余計な負担になってきます。
なかには、初めからリュックにレインカバーが付いているのもあるので確認してみてください。
別で買う場合は、「○○L~○○L」とサイズがありますので、リュックに合わせて選ぶようにしましょう。
リュックと一体になっているレインカバーは、破れたらどうにもならなくなるので、別で買うのがオススメ。
別で買うとサイズ合わせがむずかしいかも。ストックやテントマットと外付けする場合は大きめのレインカバーじゃないと覆いきれなくなります。
飛助は、ピッタリサイズと一回り大きいカバーを買って、使い分けています。
着替え
登山中に汗をかいたり、雨でびしょ濡れになったり、はたまた川に落ちたりして、ウエアがベタベタになることがあります。尾根や山頂はに出ると、急に風に吹かれることもあり、ウエアが濡れていると一気に体温が奪われ、低体温症になる危険もあります。
着替え用も、登山用のウエアを準備して、雨が降っても川に落ちても濡れないように、ビニール袋等で防水するようにしましょう。
ヘッドライト
「えっ!?日帰りで昼間しか登山するつもり無いけど。。。」と思われる方にもリュックの中に入れていただきたい!!
当然、何事もなく下山できれば使うことはありませんが、怪我や疲労、道迷い等により行程が遅れて日が落ちてきたときには非常に強力な武器になります。というより、完全に日が暮れるとライトが無ければなにもできません。「携帯のライトで・・・」火事に水鉄砲で挑むようなものなので、火事には消火器、山にはヘッドライトを買いましょう。
形状
多くは、おでこにライト本体とバッテリーがくる形をしています。なかには、バッテリーは後頭部にあるものもあり、後ろ側に車のテールランプのような赤色のライトが付いていたり、前後の重量バランスが良かったりします。ただ、後頭部からおでこまでコードが繋がっていて、付け外しや収納が面倒だったりもします。
明るさ
「ルーメン」や「カンデラ」で表されます。明るいに越したことはありませんが、バッテリーの持ちとのバランスを考える必要があると思います。
また、光量や光の広がり具合を調整、切り替えできると便利です。目の前にいる人に向けてしまったときに、自動で光量を押さえてくれるものもあります。
電源
乾電池式と充電式リチウムイオンバッテリーがあります。
乾電池式は電池切れの時に予備の電池と入れ替えて使うことができますが、充電式より若干重くなる傾向が。
充電式バッテリーは、光量の強いものが多く割と軽量ですが、バッテリー切れの際は充電しなければならなくなるため、モバイルバッテリーが必要となり、充電中は使えないので、先を見越した使用と管理が必要です。
一端まとめ
登山に必要なものは、まだまだありますが、基本の基本としては
- リュック
- 行動食
- 非常食
- 飲料水
- カッパ
- 着替え
- ヘッドライト
といったところでしょうか。
これは泊まりであろうと日帰りであろうと、必ず持って行きましょう。
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